情報小国が縋る「真珠湾の罠」説

2011年11月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第67回 ]

帝国海軍の空母機動部隊が、厳冬のエトロフ島のヒトカップ湾に集結し、荒れ模様の北太平洋を長駆して、アメリカ太平洋艦隊の基地、パールハーバーに奇襲攻撃を敢行して70年の節目を迎える。これを機に連合艦隊司令長官、山本五十六提督を主人公にした映画の制作が進み、「悲劇の提督」といわれた山本五十六の生まれ故郷、新潟で大規模なシンポジウムも企画されている。真珠湾攻撃にいたる道のりは、血の一滴たる石油の対日供給を絶ち、自存自衛のために日本を決起させるようABCD包囲網を敷いて巧みに仕組まれた戦いだった――。開戦を決めた御前会議直前の情勢はそう見えたかもしれないが、悲劇にいたる道に国家を導いてしまった指導部の責任は免れまい。討論会にパネラーとして招かれるひとりとしてそう指摘せざるをえない。*山本五十六提督は、帝国海軍の軍令・軍政の首脳部に在って、当時の政府が日独 ………

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