英国「政治空白3年」の代償

国を分裂させ、王室も巻き込み、コモン・ローの解釈変更まで引き起こしかねない事態。

2019年11月号 GLOBAL

英国の欧州連合離脱(ブレグジット)をめぐり、英国と欧州連合(EU)がアイルランドの国境問題で対立を続けている。離脱交渉の核心は両者による英国の主権争いなので交渉が難航することは予想されていた。国境の管理と安全保障の確保は主権国家の基本的な機能である。だが、1998年に署名された「ベルファスト合意」では、英国とアイルランド共和国はアイルランドと英領北アイルランドの国境の開放に合意し、プロテスタント系とカトリック系の住民が数十年にわたって繰り返した流血の政治闘争を終結させた。両国政府が、主権に関する大胆な決断を下したことによって実現したのだ。ベルファスト合意は、当然のことながら市民のアイデンティティーにも大きな変化をもたらした。国境の開放後は、北アイルランドの住民は、英国人であると同時にアイルランド人ともなった。長く分断され、植民地として闘争の歴 ………

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