追悼 「最後の噺家」柳家小三治さんとの日々/「タケちゃん、もう一度歌って……」/演芸評論家 太田博

号外速報(10月14日 16:00)

2021年10月号 LIFE [号外速報]

噺家・柳家小三治の急死(10月7日、享年81)は意外なようでもあり、最近のテレビのドキュメンタリー番組での様子からは、やっぱりという気もする。これまでも多くの噺家の死に接してきたが、これほどの衝撃波は感じなかった。というのも、戦後の落語界を担ってきた志ん生、文楽、小さん、さらにそれを引き継いだ志ん朝、談志、円楽といった名人・上手たちそれぞれの死は大きな引き潮のような動揺は与えた。だが、小三治の死は落語の一切合財を根こそぎさらって行ってしまったような激震だった。落語という伝統話芸の形の崩壊という意味で、である。「落語家」ではなくて「噺家」と呼べる落語芸の在り方を唱え続けてきた最後の師匠が小三治だった。

生来の「フラ」をどう活かすか

芸は日進月歩――。特に落語はそれぞれの時代の新鮮な空気を吸い、風圧に翻弄されつつ変化することで強靭な生命力を維持してきた融通無碍な話芸である。そ ………

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