源氏物語を「楽しみ尽くす」方法/二人のヒロイン「藤壺」「浮舟」めぐる謎」/半世紀の愛好家・柳辰哉

2024年3月号 LIFE [リアルに描かれた「男女の縁」]

源氏物語のヒロイン二人について考えてみます。

「永遠の想い人」藤壺の宮

光源氏に一番大きな影響を与えた女性は藤壺の宮だと思います。吉本隆明氏は「いわば『源氏物語』は潜在的には〈藤壺物語〉であるといっていいほどだ」と『源氏物語論』(大和書房)で記しています。藤壺は、源氏の父・桐壺帝が愛していた源氏の母・桐壺更衣(きりつぼのこうい)が亡くなった後、帝(みかど)の喪失感を癒す女性として入内しました。桐壺更衣の面影があったため源氏は幼い頃から五歳上の藤壺に憧れていたことが「1 桐壺」に記されています。十二歳で元服した源氏は、政略結婚で四歳上の葵の上と結婚しますが馴染めず、藤壺への思慕を募らせます。そして十八歳のとき、側近の女房の手引きで源氏が藤壺と契ったことが記されます。作者の紫式部はその場面を、夢の中のできごとのようにぼかして書いています。角田光代氏の現代語訳で核心部 ………

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