連載/病める世相の心療内科/敦煌へと続く1本の白い道/遠山高史・精神科医

2026年1月号 LIFE [病める世相の心療内科]

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世の著名人たちになぞらえて、私ごときにも座右の銘がある。「二河白道」という浄土教の教えにある言葉であるが、西に向かって歩く道の北側に荒れ狂う水の流れがあり、南には火が燃え盛っている。その間に1本の浄土に向かう白い道があるがわずか4~5寸、14~15センチの幅しかない。その道中は危うさと苦難に満ち、しかも、後ろから鬼たちが追いかけてきて東に戻れ、それが楽だと誘う。この白い道は複雑系理論でいうカオスの縁に他ならない。カオスとは混沌とした宇宙の事象のことだが、極めて些細な振動でも、大きな変化を生じさせるため安定せず、構造はできるはずがないにもかかわらず、なぜか生き物という秩序が生まれ構造が生じる。それは、カオスにも白い道のような細い縁が現れるからであるとされている。その白い道のような秩序がなぜこの宇宙に現れ、そこから衆生が生じるかはわかってはいない ………

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