金融庁の恥/「プル生命」に厳罰、「ソニー生命」に大あま/悪の元凶「遠藤俊英」元長官

2026年5月号 BUSINESS

ソニーフィナンシャルGに天下った遠藤俊英社長(同社HPより)

社員らによる巨額の金銭詐取が発覚したプルデンシャル生命保険。本誌は前月号で、金融庁が親会社のプルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパンにも立ち入り検査を行う方針であることをスクープした。事業会社を監督する役割を果たさず、問題を放置してきた親会社の責任が厳しく問われることになる。

業界が神経を尖らせるのは、プル社に端を発した営業社員による金銭不祥事問題が、「同業他社にどこまで広がるか」――。金融庁の矛先に震えているのは、プル社だけではない。衆目の一致する、次の標的はソニー生命保険だ。関係筋によると、極秘裏に「立ち入り検査準備室」なるものを発足させたと言う。

ソニー生命は1979年にソニーと米プルデンシャル社の合弁「ソニー・プルデンシャル生命保険」として誕生し、後に袂を分かった経緯がある。営業社員をライフプランナー(LP)と呼び、フルコミッション(完全歩合給)型の報酬体系を採用するなど、基本的な営業体制は同じだ。

そのソニー生命で3月、元LPが2023年に顧客らから計約22億円を借り入れ、約12億円が未返済になっていると、週刊『ダイヤモンド』が報じた。15年~22年に個人名義で借用書を作成し、顧客や親族から多額のカネを借りていたという。

ソニー生命は当時、「個人的な問題」として一切公表しなかった。顧客から億単位のカネを借りておいて、個人の問題として片づける神経は尋常でない。仮に法的責任が認定されずとも、道義的な責任は免れない。なぜ、大事に至らずフタをすることができたのか。

23年といえば、20年に金融庁長官を退官した遠藤俊英(67)がソニー生命の親会社、ソニーフィナンシャルグループの社長に天下った年だ。同社はその2年後、東証プライム市場への上場を果たしている。関係者は「実は当時、他にも金銭不祥事は複数見つかっているが、会社は公表せずフタをした」と打ち明ける。

一方、プル社は24年、金沢支社の元LPによる金銭詐取を受け、契約の全件調査を行い、その結果を公表。火だるまのダメージを受けた。

この間、営業の手口が同じソニー生命は全件調査をしていない。関係者は「実施すべきとの声が内部から上がったが、上場審査を控え、上層部が『寝た子は起こすな』と見送る方向に押し切った」とぶちまける。

プル社の全件調査は、金融庁が消極的な同社の尻を叩き、やらせた経緯がある。不可解なのは、ソニー生命にはそうした形跡がないことだ。

顧客からの巨額借り入れが発覚したことをきっかけに、「次はソニー」との見方が高まっているが、当局の「臨戦モード」は低い。別の関係者は「プル社に厳しくソニー生命に甘いダブルスタンダードは、10社にお及ぶ再就職先をひけらかす『天下りの達人』こと遠藤元長官への忖度以外に考えられない」と吐き捨てる(本誌22年7月号<金融庁のタブー「悪質ソニー生命」に遠藤元長官>参照)。

ちなみに、遠藤の前任の元長官・森信親もアフラック生命保険の親会社である米保険大手アフラック・インコーポレーテッドの社外取締役に就いている。マネードクターを展開する保険代理店FPパートナーが25年に行政処分された際、同社に過剰な便宜供与をしていた生保の中で、アフラックが最も悪質だったが、金融庁は大方の予想に反し、東京海上あんしん生命に矛先を向けた。

保険営業の信用は地に落ちた。金融庁のダブルスタンダードは、歴代長官の天下りを介した癒着(手心)ではないか。ある金融庁OBは「そうした疑念を晴らすためにも、フルコミを採用する全ての生保に報告徴求命令を出し、全件調査をさせるべき。一見、厳しい対応のようで、それが中長期的な業界の信頼回復につながる」と言う。(敬称略)

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