連載コラム:「某月風紋」

2026年9月号 連載 [コラム:「某月風紋」]

敦賀以西の北陸新幹線延伸ルートについて与党の整備委員会は7月15日、福井県小浜市から京都市を経由するルートを採用した。自民党と連立を組む日本維新の会の要望で8ルートを再検証し、その結果2016年に一度決定していた「小浜・京都ルート」を再度選び、京都市内の新駅をJR桂川駅近くに設置する案で決着した。

迷走したのは、先の参院選京都選挙区でトップ当選した日本維新の会の新実彰平氏が、滋賀県米原市を経由して東海道新幹線に乗り入れる「米原ルート」の再検討を選挙公約に掲げていたせいだ。自民党は維新との連立を探っていた時期で無視できなかった。だが「米原ルート」は距離短縮で建設費用が安くなるだけ。小浜近辺がエネルギー政策上でいかに重要な地位を占めているかを理解しない幼稚な理屈だった。

敦賀~小浜間には関西電力の美浜原子力発電所(福井県美浜町)があり、小浜市の西側には同じく関電の大飯原発(同おおい町)と高浜原発(同高浜町)がある。急増する電力需要を賄うには原発の再稼働や増設が欠かせず、地元の理解を得る必要がある。北陸新幹線の西進には、原発立地への貢献に報いる意味が込められていた。

米原で接続すると北陸と中京圏の結合力が増し、京阪神との結びつきは弱まる。金沢や敦賀までの部分開業で北陸から関西の大学に進む学生は大きく減少し、ビジネス面の人流も目減りして、関西経済はダメージを負った。「米原ルート」だとこれが固定化する。

関西経済連合会や大阪商工会議所、関西経済同友会など関西財界は「小浜・京都ルート」での決着を大歓迎した。いずれも1日も早い新大阪までの全通を求めている。貴重な時間を浪費させた維新の罪は重い。単純なそろばん勘定で議論を混ぜ返し、財界重鎮から嫌われていることを維新もそろそろ気づかないと。与党なのだから。

(松果堂)

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