人の昇沈は定めて道に在り
2009年10月号
連載
[如是我聞]
by
M
1959年名古屋市生まれ。早大政経学部卒業、日本銀行入行。2001年より参議院議員(現在2期目、愛知県選挙区)。日銀在職中に早大大学院で博士号取得(専門はマクロ経済学、金融財政論、公共政策論)。金融財政のプロとして、民主党の金融対策チームの座長を務める。
写真/小嶋三樹
「小泉元総理とは国会で何度も議論を戦わせましたが、その座右の銘は論語にある『信なくんば立たず』。この『信』とは信頼の『信』であり、つまり、個人の信念を実現するのが政治ではなく、多くの国民の皆さんの信頼がなければ政治を行ってはならないという意味です。小泉政権以降の3代の『たらい回し』によって、自民党は国民の信を完全に失いました。それが政権交代の真因です」
「私は政治の基本は意外に簡単なことだと思っています。それは、困っていない人、自立している人には余計なおせっかいはしない。しかし、困っている人にはしっかりと手を差し伸べるということです。民主党は『国民の生活第一』というスローガンを掲げ、その優先順位に基づいて、すべての予算を組み替え、子育て・教育、年金・医療、地域主権、雇用・経済に税金を集中的に使うと約束しました。必要な財源は『足りないから負担せよ』ではなく、税金のムダづかいと天下りの根絶によって捻り出すと訴えました。子ども手当などに充てる9兆円もの財源を、国の総予算207兆円から捻出するのは非現実との批判もありますが、果たしてそうでしょうか。官僚丸投げの政治から政治家主導へ移行することも、鳩山政権構想のポイントです。財務省には『政権党の責任とリーダーシップでマニフェストは必ず実現する。もし、抵抗する役所があれば厳しく対応せざるを得ない』と釘をさしました。面従腹背は通用しないのです」
「オバマ米大統領は8月初め『景気は最悪期を脱した』と演説しましたが、各国のデータを見る限り生産活動は復元していません。秋以降の景気が懸念される中、舵取りは容易ではありませんが、民主党は公共事業に税金をつぎ込むのではなく、個人消費を増やすことで経済を立て直します。コンクリートの建物や道路を造らなければ景気は回復しないというのは誤った考え方です。社会保障や育児・教育政策を充実させ、家庭の可処分所得の増加を図る。月額2万6千円の子ども手当はその一例です。個人消費拡大が内需中心の景気対策になるという発想を、日本経済の構造にビルトインすべきです」
「7年前、故郷の『覚王山日泰寺』の前に事務所を開いて以来、地元の歴史や商店街の振興にお役に立ちたいとの思いで、毎月の『弘法さん』という縁日にお大師様にちなんだ仏教余話を書いて配り続けています。人の生き方を追求した弘法大師の教えは心に沁みるものです。曰く『物の興廃は必ず人に由る。人の昇沈は定めて道に在り』。物事が盛んになるか廃れるかは、それにかかわる人次第。人が何かに成功するかは、その人の姿勢、心構え次第……。政権の座を与えてくださった国民の皆さまへの『感謝』と『謙虚』の気持ちを胸に、政権党の責務を果たしたいと思います」