2025年6月号 連載 [コラム:「某月風紋」]
人手不足の影響もあるのだろう。飲食店のサービスが低下している。席が空いていても片づけが済んでおらず、なかなか案内してもらえない。注文はタブレット端末から入力する方式が主流となり、店によっては自分のスマホでQRコードを読み込まなければならない。
地価が高い東京では、テーブルとテーブルの間隔が狭いだけでストレスなのに、1人だと空いていてもカウンター席に案内しようとする店が少なからずある。カウンターだと足を伸ばせず荷物も置けない。サクッと食事を済ませられる牛丼店とラーメン店以外、テーブル席に座れなければ利用しない。欧州ではテーブル席とカウンター席で価格に差をつけている店もあるという。日本の店も大勢詰め込みたいなら価格差をつけるべきだと感じる。
健康増進法や東京都の受動喫煙防止条例にもかかわらず、「喫煙可」の店が増えている。保健所がしっかり取り締まらないからだ。松沢成文参議院議員は昨年12月の予算委員会で、「曖昧な健康増進法の規定や定義を明確化するとともに、地方自治体にしっかりと対応するように指導して通達を出すべきだ」と訴えていた。同感だ。
スーパーマーケットではセルフレジが増え、ガソリンスタンドで窓ガラスを拭いてもらえる「フルサービス」にはめったにお目にかかれなくなった。かつて「おもてなし」をウリにしていた日本の面影はもはやない。
別の理由にかこつけてサービスを低下させているケースも多い。2020年のレジ袋有料化にからみ、紙袋まで有料にしている店がある。ある登山用品店では100円取られた。
テロ対策などを名目に街中や鉄道の駅ではごみ箱が撤去されており、困ることが多い。観光庁の「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査」でも「困ったこと」の最多は「ごみ箱の少なさ」だった。
(ガルテナー)